湖に出ると、そこは月光で明るく照らされていた。そのまま通り抜けようとして、パーシヴァルは足を止める。どこからか、人の話し声が聞こえてくる。
木々の陰に体を滑り込ませ、辺りをうかがっていると、レストランの建物の陰に人影があるが見えた。
(あれは……)
大きな樽のような人影と、小柄な少年の影。
「ギョームさん、今日こそスクープをゲットですよ!」
「ほほ〜い、そうですよ〜。今日こそ白い美少女の正体をつきとめるのです! そしてあわよくば……」
「大スクープに発展ですね!」
「交換日記を申し込むのです!」
ずるり。
パーシヴァルが、その場でこけそうになったのは、当然のこととと言える。
(な……何やってんだ、あの馬鹿二人は!!)
ずきずき、あまりのばかばかしさに頭痛までしてきた。
そういえば、先日壁新聞にナッシュの浮気が記事になっていた。どうやらアーサーは、その続報を出すために取材をしているらしい。ギョームの目的は、それとはまた別のようだが。
パーシヴァルは、頭を振ると、力の抜けた膝に力をいれ、立ち上がった。
とにかく、目的の部屋は彼らの背後だ。どうにかしなければいけない。幸い彼らは自分に気がついていないようだが……。
>こっそり通り抜ける。
>念のため気絶させる。